家族葬だけど1人の時間
数年前に、葛飾区亀有でご葬儀のお手伝いをさせていただいた時のお話です。
喪主様がまだ幼い頃に、ご両親は離婚されものごころついた時には、
お母さんとの2人の生活が当たり前だったそうです。
女手一つで、一人っ子のご長男様を育てあげたため超過保護だったそうです。
そのため、お母様の存在を時にはうっとうしいと思ったこともあったそうですが、高校を卒業して就職なさったのをきっかけに一人暮らしをはじめ、ようやく母のありがたみがわかり始めた矢先の余命宣告だったそうです。
気がついたときには、ガンの進行がはやく手遅れと告げられたそうです。
辛い闘病生活の中で、お母様が変わっていってしまう様子が辛すぎてうまく看病ができなかった時期もあったそうです。
喪主様はまだ28歳とお若く、悲しみをこらえて、葬儀も執り行わなくてはならずに大変だったと思います。
喪主様は、ご自身の今住んでいるお部屋から、1人だけで見送りたいというのがご希望でした。しかし、ご親戚の方から猛反対をうけ、それができなそうだというご相談を受けました。
弊社と致しましては、喪主様の希望をお助けしたいのですが、その後お身内がいらっしゃらなくなる喪主様を思うとなんとも言えずにおりました。
喪主様は一人暮らしですので、お部屋もワンルームで玄関を開けるとすぐに階段という作りだったこともあり、親戚の方々は無理だと言われたのだと思います。
しかし、一人暮らしの自分の部屋にたまに来て、ご飯を作ってくれる姿が忘れられなくて、ここから見送りたいというお気持ちを聞いてしまったので、
『無理だよね?葬儀屋さん!』
と親戚の方から聞かれたときに
『いいえ、大丈夫です』
とお応えしました。
そして、共にゆずり合うカタチで
葬儀は、喪主様のお部屋で行い、親戚の方が7名参列するということになりました。
ただ、喪主様から出棺の前に30分時間が欲しいと言われました。
そして、喪主様は出棺の時までご親戚さまとも一緒にお酒を飲んだり色々なお話をされたりして、お時間を過ごされましたが本当に明るく気落ちした様子もなく、いたって普通だったそうです。
そして、出棺の準備が整ってご親戚の皆様と私どもは席を外すことになりました。
『今から30分経ったら、何があっても声をかけて下さいね。』
そう言われて、とにかくドキドキしたのを覚えております。
その後30分経って、私が声をかけると
『どうぞ』
とお返事いただけたので、ほっとして中に入りました。
『わがままきいてくれて、本当にありがとうございます。もう涙が全部なくなりました。』
と言われた目は真っ赤にはれあがっておりました。
お母さんから、
『お前は、一人っ子で弱虫だと思われるから、私がいなくなっても泣いてるところは見せちゃダメよ。でも、一回だけお母さんのことを思って思いっきり泣いてね。涙一つないんじゃ寂しいから。』
と言われていたそうです。
今回も最後までお読みいただきまして本当にありがとうございます。
このご縁に心から“感謝”です。